妊娠・授乳中の脱毛はNG!その理由と脱毛を再開できる時期について解説
2020.09.23
脱毛の施術は、医療レーザーや特殊な光を肌に照射して毛根にダメージを与えるものです。レーザーや光が子宮まで届くことはないので、基本的に赤ちゃんに何らかの影響を及ぼす心配はありません。それでも、ほとんどのクリニックや脱毛サロンで妊娠や授乳中の施術は断わっています。それはどのような理由によるものなのか、理由を以下に説明しましょう。主に4つの理由があります。 人間の身体には非常にたくさんのホルモンが分泌されており、各組織が正常に機能するように調整する働きを担っています。女性の妊娠・出産に深く関わっているのは、プロゲステロンとエストロゲンの2つの女性ホルモンです。この2つは思春期あたりから活発になりはじめ、妊娠すると正常な妊娠を維持するために分泌量が増加します。このほか、妊娠・授乳中は母乳を分泌するプロラクチンや赤ちゃんの発育を促進するヒト胎盤性ラクトゲンの分泌量も変化します。このようなホルモンの大きな変化に加え、運動不足や胎児に回されることによる栄養の不足などが加わり、妊娠中の女性は肌が非常に荒れやすくなっているのです。 出産後も、妊娠中に分泌が増えたホルモンの量が急激に減るなど大きな変化が起きます。さらに、慣れない育児によるストレスや頻回な授乳、夜泣きによる寝不足などが原因で、肌の調子はなかなか整いません。この状態で外部から医療レーザーや光による施術を行うと、肌にとっては大きな刺激となります。多大な負担をかけてしまうことで、肌にさまざまなトラブルを招く恐れがあるのです。たとえば、次のようトラブルが起こる可能性が高いでしょう。
・しみ、そばかすや黒ずみができやすくなる 上で述べたように、ホルモンバランスが変化することで妊娠・授乳期の肌はデリケートになっています。妊娠前であれば問題のなかったささやかな刺激でも、湿疹やかゆみなどのトラブルを起こすことがあるのです。しかし、妊娠・授乳期は、胎児への影響を考えると通常時と同じような強い薬を使用することができません。なぜなら、妊娠中に薬剤を服用すると胎内の赤ちゃんに悪影響が出る恐れがあり、授乳期も母体が摂取した薬剤の成分が母乳中に分泌されてしまうリスクがあるからです。肌トラブルが起こっても薬による処置が取れないため、悪化してしまう恐れがあります。それを考慮すると、妊娠・授乳期の脱毛は避けたほうが良いのです。 産前・産後の大きなホルモンバランスの変化はさまざまな面で身体に影響を及ぼし、場合によっては多毛症を招くことがあります。このケースにおける多毛症の主な原因は、妊娠・授乳中に増加するホルモンの1つ、プロラクチンです。プロラクチンは脳の下垂体から分泌され、乳腺を刺激して母乳の分泌を促す大切な働きを持ちます。ところが、このホルモンが多く分泌されると体毛が濃くなることがあるのです。これが多毛症で、施術をして体毛を減らしても生えてきてしまうため、脱毛効果が得られにくくなります。 女性ホルモンのエストロゲンはセロトニンと深く関わりがあります。セロトニンとは、ドーパミンやノルアドレナリンを制御する働きを持つ脳内物質で、精神を安定させるために欠かせません。ところが、妊娠・授乳中にエストロゲンの分泌量が変化すると、それに伴ってセロトニンも変化してしまい、精神状態が不安定になることがあります。出産後にこれが高じたのが、産後うつと呼ばれる症状です。うつ症状までは出なくても、精神的に不安定になってしまうケースが多く、できるだけストレスなく過ごす必要があります。 ところが、脱毛の施術中は痛みが生じることもよくあり、照射中はずっと同じ体勢を維持しなければなりません。これらは、デリケートな状態の心身にストレスを与えてしまうでしょう。過度のストレスは筋肉の収縮などを招くことがあります。 妊娠中や産後に多毛症が起こると、治らなかったらどうしようかと悩むものでしょう。しかし、これは妊娠・出産に伴うホルモンバランスの影響により起こる一時的なものです。一般に、ホルモンバランスが落ち着いてくればやがて元のような状態に戻りますので、あまり気にせず過ごすようにしましょう。プロラクチンの分泌が活発な間は対処が難しいため、授乳がひと段落してホルモンバランスが自然に落ち着くのを待つことが大切です。 脱毛の施術ができないとなると、妊娠、授乳中のムダ毛はどのように処理すれば良いのか悩むところでしょう。とはいえ、この時期はカミソリや毛抜き、除毛クリームなどを使って自己処理するのは特に避ける必要があります。なぜなら、ホルモンバランスの乱れが原因で肌がデリケートな状態になっているため、通常の時期よりも肌が荒れるリスクが高いからです。たとえば、カミソリはどれほど丁寧に使ったとしても肌表面の角質を削りとり傷つけます。デリケートなこの時期は、小さな傷でも炎症などを起こしかねません。 毛抜きは毛穴をひっぱって大きな負担をかけてしまうため、肌組織を弱らせ、そこに雑菌が入り込むことで毛嚢炎などが起こる恐れがあります。肌がダメージから守ろうとメラニン色素を生成するため、毛穴の黒ずみが起きることもあるでしょう。さらに、ムダ毛が途中で切れ、毛穴がふさがることで肌の下でひょろひょろと伸びてしまう埋没毛が発生することもあります。除毛クリームは薬剤でムダ毛を溶かすため、デリケートな肌に大きな刺激を与えて肌荒れを招きかねません。 とはいえ、ムダ毛を伸ばしっぱなしするのも抵抗があるものです。自己処理をするなら、肌への負担が少ない電気シェーバーを使って丁寧に剃りましょう。電気シェーバーは肌に刃が当たらないつくりのため、肌に優しくムダ毛の処理ができます。処理したあとは、丁寧な保湿ケアを行い、たっぷりと潤いを与えて肌を労わりましょう。みずみずしく潤った肌はバリア機能が高まり、刺激や菌に対する抵抗力が強くなるため荒れにくくなります。 出産後いつになったら脱毛できるようになるかの決まりはありません。多くのクリニックやサロンで一定期間経ってからの施術をすすめていますが、いつからなら良いかは個々の施設の判断によって異なります。出産後であれば肌や身体の状態を確認して問題がなければ良いとするところもあれば、授乳が終われば良いとするところもあり、さまざまです。産後に生理が2度訪れてからとの目安を設けているクリニックやサロンもあります。そのため、クリニックやサロンによく確認することが必要です。 ただし、授乳が終わっても身体が以前のような調子に戻らないこともあるでしょう。また、産後に生理になったと思ったら次が来なかったり、短周期ですぐにきてしまったりと安定しないこともあるものです。身体や生理のリズムが落ち着かないようであれば、無理に脱毛を開始・再開するのは好ましくありません。少しでも不安があるようであれば、クリニックやサロンのスタッフと十分に相談し、様子をみていつから開始・再開するか決めるようにしましょう。 なお、産後に生理が来るタイミングは人によって大きく異なります。ミルクか母乳かでも変わり、前者であれば産後数カ月程度で再開することも多いものの、母乳の場合は1年程度来ないケースも少なくありません。授乳も赤ちゃんが1~2歳になるまで続けるケースも多いです。そのため、クリニックやサロンによっては妊娠してから数年は脱毛ができないことになります。妊娠する前に脱毛を開始していて途中になっている場合、どのように対応するかはクリニックやサロンによってさまざまです。契約したプランやコースによっては有効期限があり、授乳中に終了してしまうこともありえるでしょう。 妊娠の場合は有効期限を延長してもらえるところもあります。妊娠や出産の予定がある人は、契約前に妊娠した場合の対応についてよく確認することが大切です。 妊娠・授乳期の脱毛が難しいことは理解いただけたでしょうか。脱毛が無理だからと自己処理をすると、それも肌を痛めるリスクが高いため注意が必要です。肌のためにも赤ちゃんのためにも、脱毛や自己処理によるストレスは避けるようにしましょう。脱毛を開始・再開する時期はクリニックやサロンで相談すべきです。アリシアクリニックは親身な対応で患者の不安を取り除き、悩みを真摯に受け止めてくれるため、安心して相談できます。妊娠・授乳中の脱毛はなぜNG?
肌トラブルを起こしやすい
・急に乾燥肌になる、かゆみが生じる
・ニキビや湿疹ができやすくなる
トラブル時に薬が服用できない
多毛症で効果が得にくい
ストレスになってしまう恐れがある
多毛症は元に戻る?
妊娠・授乳中のムダ毛処理はどうしたらよい?
脱毛はいつから再開できる?
妊娠授乳中はストレスは避けるようにしよう